ウエイク・アップ・ネッド Waking Ned  ★★★

住人たった52人というアイルランドの孤島にあるタリーモア村。そんな孤島で暮らす人々の間にふってわいた珍騒動を、二人の爺さんジャッキーとマイケルの友情や、狭いコミュニティならではの人間模様とともに描き出した、楽しいエピソードやユーモアの溢れる秀作。主人公のジャッキーは、まるで老人版アメリとでもいう感じで憎めない。

沖縄のある小さな孤島では、それぞれの職業につく人数が決められていて、安易に移住や転職することが認められていない、ときいたことがあるが、まるでそれを象徴するかのように、タリーモア村の人々の存在(キャラクター)には全くの無駄がない(リジー以外は)。老若男女問わず、お互いのいいところと欠点を補完し合ってまさに「もちつもたれつ」の友情をはぐくんでいる。だからこそ、不運や珍事件、そして幸運も、みんなが自分のこととして共有できるのだ。そんな村人たちの生き方には、羨ましさや懐かしさを感じてしまうくらいだ。

ストーリー(引用):アイルランドの小さな村タリーモアで、約7000万アイルランドポンド(11億5500万円相当)のロトくじの当選者がでた! ジャッキーとマイケルの悪友爺さんコンビはおこぼれにあずかろうと当選者探しを始めるが、肝心の当選者のネッドはショックで死んでいた。ネッドは天涯孤独の身、このままでは賞金は国に没収されてしまう。そこでジャッキーはネッドになりすますことを決心するが…。

楽しい映画がいつもそうであるように、この映画もあまりにもピッタリなキャラクターと秀逸なエピソードに満ちている。冒頭、ジャッキーがテレビの当選発表を見ながら、奥さんのアニーにアップルパイを持ってきてもらうためにジャッキーがたくらむちょっとしたいたずら。海で泳ごうと素っ裸になったところに突然現れた調査員にあわてふためき、結局はネッドになる羽目に陥ったマイケルが、素っ裸のままでバイクを走らせるシーンの、何とおかしくて可愛らしいことか。賞金ネコババ作戦に立ちはだかる唯一の障壁リジーの偏屈ぶり。そしてそのリジーへの村人の対応ときたら、こんなにみんな人が好くって、ほんとにネコババなんてできるの? って思わせる。だから、信心深いアイルランドの寒村の、ほとんどが年寄りばかりの村人のたくらみが、ちっとも悪いことに思えなくて、神の思し召しのような最後のオチも不思議ではなく、前祝いに酔っぱらう村人と一緒に、手放しで喜んでしまえる。

村で一番の美女、シングルマザーのマギーの息子モーリスのホントウの父親が実は…というおまけや、村ぐるみの詐欺をたしなめもしない新米神父のパトリックの相談相手が、村でただ一人の子供のモーリスだったりするのもかなり可笑しい。「みんなが大金を持って村から出ていってしまったらこの村はどうなるのか」と悩む神父に、「どうせみんな飲んじゃうよ」と答えるクールなモーリス。そう、誰も彼も何かというと村でただ一軒のパブに集まり飲んだくれて、52人の村人のうち18人もが毎度のようにくじを買う、でも教会にはきちんと通い、村人同士が信頼関係で深く結ばれている…。そんなタリーモアに降ってきた幸運は、ホントウに神様の思し召しなのかもしれない。

監督・脚本:カーク・ジョーンズ
出演:ジャッキー:イアン・バネン マイケル:デヴィッド・ケリー 
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by KANAI_77 | 2006-08-02 16:04 | ア行  

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