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ノーバディーズ・フール ★★

「俺は、人(父)に愛されなかった、だから人(息子)に愛を与えることなんてできない人間だ」といいつつも息子や孫に気を配り、「俺は君(ミス・ベリル)の老後の面倒なんて看れない、俺なんかを頼りにしないでくれ」といいながらも、病院に付き添い、「最低なカールなんかよりも、俺の君(トビー)を幸せにできる」といいながらも、ハワイ行きを断るサリー。そんなサリーを演じるのは名優ポールニューマン。「男の中の男」はいくつになってもセクシーでいい男なのだ。60歳になっても粋な台詞が似合う男。メラニー・グリフィス演じるトビーとの絡みでは、口説くふりをして慰めているのか、慰める振りをして口説いているのか、微妙な駆け引きは、まさに恋愛映画だ。彼じゃなかったら、たんに冴えない男の冴えない話になってしまっただろう。
「ノーバディーズ・フール」は直訳すると、「愚かな人なんていない」?じゃあここでいう「バカ」っていうのはどういう意味なのか?町一の美しい妻がいながらも浮気を繰り返すカール、惚けて町を徘徊する老婆、ピートに焼きもちをやく相棒のロブ、テーマパーク建設に踊らされたミス・ベリルの息子、役に立たない弁護士、くたびれた作業着姿のサリー(ポールニューマン)の周りには、ある意味「愚か」で「世話の焼ける」人間たちが、さえない愛すべき魅力ある人々として描かれている。

by kanai_77 | 2006-01-29 00:20 | タ行  

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