ターミナル ★☆

ある男が、空港の外に出る事も自分の国に帰る事もできずに空港に住み着くはめになるという映画「パリ空港の人々」を、ハリウッドでリメイクしたものと思われるが、ストーリーや設定がまるで違う。「パスポートがないために自国に入国できなくなったフランス人」と「クーデターで国がなくなってしまった○※△人」とでは、あまりに違いが大き過ぎる。まさに似て非なるものだ。
パリ空港の人々では、「空港」というどの国にも属さない場所に暮らす人々を描く事で、「国境とは何か」「国とは何か」を深く問いかけているが、本作では、たまたま事件にまきこまれた人間がいろんな人の親切に触れながらなんとか生きていくといった類いの話を、ただ「空港」を舞台にしというだけで、そこが「空港」である必然性が薄いのだ。だったらいっそ「ホームアローン」の空港版でも作ればよかったじゃないか。

「パリ空港の人々」を見たときには、「空港の中には、どの国にも属さないスペースというものがあって、地図でいえばそれはまるで国境という1ミリの線の上のことなんだ、と、なんだか目から鱗が落ちた気がした。最近、Google Earthで宇宙から撮影した地球の映像を見たときに「そには国境なんてものは写ってない」、国境なんてものは人間たちが勝手に作り上げた不安の象徴、つまりは幻想に過ぎないのだと、改めて悟ったときの衝撃にも似たものがあったのだけれど。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-04-30 16:53 | タ・ナ行  

コラテラル ★★★

いい映画。全編を通して、音楽も映像もどこかクラシックで美しく、そして切ない。
巨大な街L.A.で、地道に生きる黒人のタクシー運転手マックスと、孤独で冷徹な白人の殺し屋ヴィンセント。ヴィンセントがターゲットを一人殺すたびに、動揺したり、悲しんだり、嘆いたり、逃げたりするマックス。「なぜ殺したのか?」と質問を投げかけられるヴィンセントは、さながらセラピーをうけているかのように、過去の自分を思い出させられる。そう、二人は、かつて捨てたはずの自分、否定したはずの自分に出会ったのだ。重要なのは「どちらが善でどちらが悪か」ではなく、「どちらを否定できるか、どちらを肯定できるか」なのだ。

その運命的な出会いで、半ば自暴自棄になっていくヴィンセント。自分のふがいなさを突きつけられつつも、都会で生きるちっぽけな人間を守りたい、という単純な思いを貫こうとするマックス。クライマックスでガラス越しに打ち合う二人。生き残ったのは……。


車の前を横切るコヨーテ。
黙って見つめていた二人は、そのとき何を思ったのか。
都会の夜に生きる人間。
巨大な街ロスでは、美しく広がる夜景のほんの一部、
数秒の瞬きでしかない。
それでも美しく生きようとするちっぽけな人間を、
美しいロスのトワイライトが包み込んで……。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-04-25 01:19 | カ行  

バットマンビ ギンズ ★★★

おもしろかった。偽悪的な主人公のキャラクターがよい。漫画原作とはいえ、なかなか芯がしっかりした設定になっていると感じた。何より傑作なのは執事役のユーモアある台詞。
「こういうときのために腕立てしてたんじゃないんですか?」には思わず声を出して笑ってしまった。アクションはカット割りが多くて今イチ見応えに欠けるけど。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-04-23 23:28 | ハ行  

シカゴ ★★★☆

本作がアカデミー賞を受賞してから数年経ってから観ましたが、やはり、作品賞受賞作だけのことはありますね。非常に楽しめました。騙し合い、出し抜き合いといったストーリーが、ショーのエンターテイメント性とあいまってテンポよく展開し、思わず引き込まれていく。その感覚はまるで“誤って劇場の舞台裏に飛び込んでしまった”かのよう。人を浮き立たせる様々なもの、ゲーム、興奮、熱狂のようなものが全編を通して「テーマ」となって溢れているためか、ライブでショーを観たときのようなエキサイティングな体験ができる映画。
それにしても、レニーゼルウィガーは改めて素晴らしい女優だ。たった半年であんなに体重を落とせるだけでもプロだけど!存在感のある女優ですね。

  
[PR]

# by kanai_77 | 2006-04-23 00:30 | サ行  

ハリーポッター アズカバンの囚人 ★☆

1作目程心がワクワクしないのは、だんだん飽きてきたせい? それとも年のせいかしら?
アーサー・C・クラークの有名な言葉、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」を象徴するがごとく、本作の魔法の授業風景は、まるで「理科の実験」の授業のようにも見える。

ストーリー:ホグワーツ魔法魔術学校の3年生となったハリー・ポッターと親友のロン、ハーマイオニー。恐ろしい脱獄囚の魔の手と危険な吸魂鬼の一団邪悪な恐怖が待ち受けていた。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-03-28 16:44 | ハ行  

大災難 Planes Trains and Automobiles ★★

旅先で、やけに何回も顔を合わせる相手というのはいるものだが、2〜3回目までなら「また会いましたね」ですむものの、それが4回、5回ともなってくると、これも何かの縁かもしれない、と少しは自己紹介をしあって会話を弾ませたほうがいいのかな、と思いながらも、キマズイ雰囲気に気がつかない振りをして苦笑いを浮かべ続けてしまう事がある。ましてや、その相手が、いかにも自分の苦手とするタイプの人間であったなら。そんな誰もが体験しそうなことをテーマにしたロードムービー。あらゆるエピソードを大げさに描き、どんどんとエスカレートさせていくというコメディの王道ともいえるストーリー展開ではあるが、そんな中にも心の細かい襞(ひだ)にふれるような台詞が微妙に織り込まれており、単なるコメディーではなく、なかなかハートウォーミングな作品に仕上がっている。
ちなみに、放題が「大災難 P.T.A.」となっているので、教育委員会の話かと一瞬思ってしまう人もいるかと思うが、これは、原題「Planes Trains and Automobiles」の頭文字のようだ。私も今初めて知った。意訳すると「飛行機でも一緒で、電車でも一緒、極めつけは車でもかよッ」といったところか。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-03-25 16:17 | タ・ナ行  

アビエーター Aviator ☆

親の遺産を飛行機に費やし、贅沢三昧して映画を作ったハワードヒューズ氏の実話に基づいた話だというが、おまえは金日正かッと突っ込みたくなる。実話であるせいか、展開に面白さがない。そもそもハワードヒューズという人間が映画化するに値する程大物でなかったということか。芸術家やクリエーターにとって、下手にお金がありすぎると結局創意工夫の必要がないため、駄作になってしまうという面もある。一方でお金というものは、使うべき人が使うとまさに「生きる」もので、妥協のない作品を作り続けた黒沢監督は、ときに巨額の資金を映画づくりに費やし、映画会社がヒヤヒヤすることがあったそうだが、出来あがった作品は、そのどれもが後世にも語り継がれる名作となっている。しかしながらこの映画を見る限り、ハワードヒューズ氏も、本作を監督したマーティン・スコセッシ氏も、その域には達していないという事か。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-03-22 16:31 | ア行  

ミッドナイトクロス Blow Out ★★☆

その華麗なカメラワークには、デ・パルマ節ともいうべき映像美が満載で、クドすぎるほどだ。次期大統領候補暗殺事件の真実にせまりつつも、その証拠はつかめず、事件は結局迷宮入り。ともに事件の究明を目指し愛さえ芽生えはじめていた相棒のサリーが華やかな花火の中で息絶え、涙するジャックだったが、彼はあろうことか、サリーの生前最後の叫び声をB級映画の交換音に採用するのだ。その心情はいかなるものであったか? なんとも映画的なテーマであり結末である。このラストがなければこの映画は「画竜点睛を欠く」ことになっていたに違いない。それにしてもこの邦題の付け方は何だ!?

ストーリー:
元刑事で、今はB級恐怖映画専門の音響効果マンのジャック・テリー(ジョン・トラボルタ)は、夜の郊外で様々な効果音を録音していた時、車の走る音をひろう。すると突然、銃声らしき音が聞こえて次の瞬間車はパンクし川に転落。すぐに川に飛び込んだジャックは、車内に閉じ込められていたサリー(ナンシー・アレン)という女性を助け出す。しかしもう一人閉じ込められていた男、次期大統領候補マクライアン知事を助け出す事は出来なかった。事故のもみ消しを不審に思いながら現場の録音テープを再生してみたジャックはある事に気がつき、やがてサリーとともに事件の真相にせまっていくのだが…!。収録したテープの銃声音にあわせ、事故の連続写真をパラパラ漫画のようにフラッシュで流す印象的なシーンなど、独自の作風を確立したデ・パルマの手腕が冴え渡る。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-03-12 15:09 | ア行  

警察日記 ★★☆

若き日の森繁久彌が、駐在所の警察官という役柄で登場する旧作。村の救済所のような存在だった頃の警察所(交番)の毎日を綴った人間ドラマは、昭和版「警察24時」といったところであるが、迷子や窃盗、食い逃げや家出など、様々な人が訪れる中、所長がポケットマネーから金を貸してやったり、警官が迷子の子供を自宅に連れて帰って世話をしたり、今の警察とは考えられないくらい、人情味の溢れるその様子に、羨ましさのようなものを感じてしまった。他にも今や大御所といわれる俳優たちや、すでに他界してしまった名優が共演している。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-03-11 16:19 | カ行  

デストラップ Deathtrap ★★

話が次から次へと展開し、観るものを引きつける、一幕もののミステリー。そのストーリーは常にミステリアスでどんでん返しの連続である。観るものに「まだ何か先があるのでは?」という期待を抱かせ続け、まるで何層にもなった箱を次々と開けていくような面白さを味わえるのだ。マイケルケインの名演が光る。

ストーリー:
ブロードウェイの劇作家シドニー・ブリュールは悩んでいた。かつてはスリラー劇の第一人者として活躍したが、近頃はスランプ状態。その上最新作ミステリーで酷評をかい、作家としての危機を迎えていた。このまま慰みで書き続けるか、それとも心臓病を抱える金持ちの妻に養ってもらうのか…。そんな折、郵便で一冊の台本が届けられる。昔の教え子が初めて書き上げたミステリー劇を送ってきたのだ。それは素晴らしい出来ばえだった。何よりヒット作が欲しかったシドニーの脳裏に、ある残酷なストーリーが書き上げられる…。マイケル・ケイン主演。ベストセラー作家アイラ・レヴィンのミステリー劇を、「狼たちの午後」「評決」のシドニー・ルメット監督が映像化した、本格サスペンス。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-03-04 15:45 | タ・ナ行  

ハリウッドミューズ Hollywood Muse ☆

鳴かず飛ばずとなったハリウッドの脚本家が、シャロンストーン扮するハリウッドの女神なる女に翻弄されるという、奇想天外な話。ジェームス・キャメロン、マーチン・スコセッシ、ロブ・ライナーといった蒼々たる面々が多数出演しているところは面白みがあるが、きっとこの作者アルバート・ブルックス 氏の妄想を映画化したんじゃないかと思われる。ティファニーの貢ぎ物ばかりをやたら集めるのを観て「これはティファニーから多額の広告料をもらってるのネ」とうがった味方がデキるような人、つまりは「業界通」を気取りたい「トリビア」好きな人のために作られた「業界モノ」といったところか!

ストーリー:ハリウッドでそこそこの実績を持つ脚本家 スティーブン。だが大手スタジオの重役から「キレがない」だの「盛りを過ぎた」だの、散々新作をケナされたあげく、契約を切られてしまった。家族を養うために書かなければ、でも…と煮詰まってしまった彼に、同業の友人から信じられない話を聞かされる。なんとヒット作を作り続ける映画人の多くが、創造の女神”ミューズ”のお世話になっているというのだ!!
[PR]

# by kanai_77 | 2006-02-12 14:55 | ハ行  

クリスティーナの好きなこと ☆

ひとことでいうと最低な映画。下ネタ連発なので、家族やカップルで観たら気まずくなる映画です(笑)。笑えるところもあったけど、その9割は失笑でした。日本のトレンディードラマの出来損ないみたい。確信犯だとは思うけど「くだらない」作品の極地です。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-02-11 00:26 | カ行  

カナディアン・エキスプレス ★☆

「その女を殺せ(52)」のリメイクとのことで、ストーリーはよくできているんだと思うけど、キャスティングのせいか演出のせいか、怪しい女にしても、太った男にしても、駅で出迎える警察官2人にしても、けっこう正体を見破れてしまって、「この映画、前にみたっけ?」とデジャブー現象数回。アクションも代役バレバレだし。列車も夜行だから景色も楽しめないし、うーん、そう考えると見所は唯一、列車に乗る前に4WDで林を突っ走るシーンは迫力があったかな。52年の作品の方を観てみたい。

ストーリー:
大物が殺しに関わる現場を目撃してしまった女(A.アーチャー)。彼女に証言者となってもらうべくカナダの山奥に迎えにいった検事(G.ハックマン)は、殺し屋に命を狙われ、命からがらバンクーバー行きの特急に乗り込む。「列車」という動く密室の中で、ヒットマンたちとのかけひきを繰り広げる。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-02-11 00:19 | カ行  

七人の侍 ★★★★★

この映画のすばらしさについては、私がいまさらいうまでもないだろう。
会社の宴会の席で、映画なんてみそうにない50代の上司に、「今まで見た映画で一番よかったのは何ですか?」と尋ねたとき、このタイトルが即座にかえってきた。当時私は、黒沢映画を1本も見ていなかったのだが、「そんなにおもしろいのか。なら一度みてみたいもんだなあ」と思った記憶がある。そのすぐあと、ちょうど機会があって、池袋の文芸座で観ることになったのだが、途中で休憩が挟まる長い映画というのも本作品がはじめてだったが、あの文芸座の椅子であってもお尻の痛さなど忘れて最後まで見入ったことを覚えている。それまで、黒沢作品というのは、コアな映画ファンのものだと勘違いしていた私は、目を見張アクションも見事なエンターテイメントでありながら、人間の悲しさやずるさを描き出し、映画としての美しさ、世界観を持つこの作品を、今まで観なかったことを後悔した。その後の私の映画観を、根本から変えた作品といっていい。たくさんの黒沢作品を観た今も、本作品は私にとって「天国と地獄」と並ぶNO.1映画である。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 19:21 | サ行  

酔いどれ天使 ★★★★☆

三船敏郎の若い頃の荒削りな魅力とエネルギーに満ちあふれた作品。白いスーツに身を包んだ若いヤクザ松永(三船)は、ヤクザ同士の抗争で、手の平にナイフがつきささろうが“へ”とも思わない。しかし肺病を患うそのからだの変化に、死への恐怖を感じている。その矛盾こそが母性本能をくすぐる。白いスーツを真っ赤な血で染め、壮絶な死を遂げるその死に様は、後の菊千代に勝るとも劣らない。黒澤監督はやくざの幹部役だった三船の野獣のようなエネルギー溢れる演技に魅了され、構想を変更したという。その結果、正しい道を示す医師・真田(志村喬)ととの真剣勝負の対峙が映画の見所となった訳だが、やり場のない怒りにありあまるエネルギーをぶちまける若いヤクザというキャラクターは、当時の三船そのものだったのかもしれない。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 19:04 | マ・ヤ・ラ・ワ行  

用心棒 ★★★★★

すばらしい。まず映像が素晴らしい。モノクロならではの美しさに感動した。三十郎が身を潜める居酒屋は、外から差し込む光が人物を黒く浮き立たせ、影絵のような感じなのだが、その美しさには思わず息をのんだ。対立する二組をまずは戦わせて自分は火の見やぐらで高みの見物。このアイディアはアメフトの試合を見て発想したと言うが。棺桶屋と居酒屋の主人くらいしか駒がない、たった一人のヒーロー三十郎が、様々な知恵を駆使してたくさんの敵を倒していく様はまさに痛快だ。一度はこてんぱんにやっつけられた三十郎が、祠で体の回復をまちながら、刀を投げる特訓をするシーン。木の葉をグサリとつきさしたそのとき、クライマックスへの期待がぐんぐんと高まっていく……。ダイハードをはじめ、昨今のアクション系エンターテイメントのお手本とも言うべき作品。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 18:47 | マ・ヤ・ラ・ワ行  

椿三十郎 ★★★★★

用心棒の続編、で前作に比べ、コメディー色が濃い。加山雄三を中心とした若い武士たちの密談を聞いてしまった三十郎が、大目付による藩乗っ取りの悪事をあばき、正義の味方として一役かうというお話だが、脚本がすばらしく、非常に楽しめる作品となっている。ご婦人方の知恵に耳を貸し、つばきの花を川に流して合図を送るところなどは、心憎い演出。そして見所は、ラストの決闘シーンだ。仲代達矢演じる室戸半兵衛を相手に、右手で抜いたのでは間に合わないと、左手で刀を抜きながら相手を斬るというやり方は、三船本人が現場で考案したものだという。しかし、その三船の刀さばきは、鮮やかすぎて(速すぎて)、フィルムのコマには写っていないという。三船ファンなら見逃せない一本。というより、見た人はみな三船のファンになるだろう。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 18:35 | タ・ナ行  

十二人の怒れる男 ★★★★★

17歳の少年が父親の殺人容疑で起訴され、そこに集まった12名の陪審員たちがその事件の評決を巡って議論を交わす。密室で展開する12人の男たちの心理描写がすばらしく、それぞれのキャラクターが絶妙に描き分けられている。陪審員室の部屋の暑さというか湿度と言うか、その息苦しい雰囲気が直に伝わってくるようだった。

いうまでもなく、三谷幸喜氏の「十二人の優しい日本人」は、この映画のパロディーであるが、パロディーの域を超え、とても楽しめる作品となっている。どちらかを見たら、もう一方も見ることをオススメする。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 18:24 | サ行  

初恋のきた道 ★☆

美少女時代のチャン・ツィイーの初々しい美しさと、中国の雄大な自然の風景の映像美が最大の見どころ。春夏秋冬、長い期間にわたってロケをして撮ったんだろうなと思うが、その映像は本当に素晴らしかった。中国にはこんなに素晴らしい景色の自然があるのかと改めて驚かされた。初々しい初恋物語は、誰もが少女時代に一度は経験したことのある恋の切なさや、少女の健気さとずる賢さを思い出させてくれるが、それ以上でもそれ以下でもなく、まるでチャン・ツィイーのプロモーションビデオかと思うほど、ストーリー自体は悪く言えば単純(よくえば清楚)だ。身分の違う男女の恋といえばロミオとジュリエットが代表的だが、このヒロインには大した葛藤もなければ覚悟もない。ただただ一途なだけなのだ。葬儀に人手がいるなら「教え子を呼べばいいのに」って、最初に思ってしまった私にとっては、ラストも予定調和だった。生徒にも息子にも町長にも少女にも葛藤なんてものはどこにもない。だから映画としての深みがない。

ストーリー
中国映画界の巨匠チャン・イーモウ監督が、素朴な感動のテイストをもって描いたラブ・ストーリー。父の死で帰省した青年が、母と父のなれそめを追想していく。若き日の母=18歳の少女デイ(チャン・ツィイー)は、村にやってきた小学校教師チャンユーに一目ぼれ。せっせと彼のために弁当を作り、偶然を装って待ち伏せる。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 01:08 | ハ行  

ノーバディーズ・フール ★★

「俺は、人(父)に愛されなかった、だから人(息子)に愛を与えることなんてできない人間だ」といいつつも息子や孫に気を配り、「俺は君(ミス・ベリル)の老後の面倒なんて看れない、俺なんかを頼りにしないでくれ」といいながらも、病院に付き添い、「最低なカールなんかよりも、俺の君(トビー)を幸せにできる」といいながらも、ハワイ行きを断るサリー。そんなサリーを演じるのは名優ポールニューマン。「男の中の男」はいくつになってもセクシーでいい男なのだ。60歳になっても粋な台詞が似合う男。メラニー・グリフィス演じるトビーとの絡みでは、口説くふりをして慰めているのか、慰める振りをして口説いているのか、微妙な駆け引きは、まさに恋愛映画だ。彼じゃなかったら、たんに冴えない男の冴えない話になってしまっただろう。
「ノーバディーズ・フール」は直訳すると、「愚かな人なんていない」?じゃあここでいう「バカ」っていうのはどういう意味なのか?町一の美しい妻がいながらも浮気を繰り返すカール、惚けて町を徘徊する老婆、ピートに焼きもちをやく相棒のロブ、テーマパーク建設に踊らされたミス・ベリルの息子、役に立たない弁護士、くたびれた作業着姿のサリー(ポールニューマン)の周りには、ある意味「愚か」で「世話の焼ける」人間たちが、さえない愛すべき魅力ある人々として描かれている。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-29 00:20 | タ・ナ行  

クライム・アンド・ダイヤモンド ★★★

いろいろな映画の要素がちりばめられ、古き良き時代の名画をたくさんみている映画ファンには非常に楽しめる秀作だ。脚本がよくできている。カット割りやワイヤーアクション、CGや特撮といった、現代映画の要素は一切排除され、代わりにあるのは、古き良き時代の名画のような演出……W・ワイラー調のさわやかなロマンス、A・ヒッチコックの小粋なサスペンス、B・ワイルダーのコミカルなギャングたち。あまり話題にならなかったのは、宣伝と予告編がダメダメだった(DVDに入っている予告編は、オリジナル版、日本公開版、ビデオ版とそれぞれ違うが、オリジナル版がいちばんまとも。他の2つは???って感じです)からじゃないかと。

そういうわけで、まさにイガオモ映画。隠れたオススメ作です。

ストーリー:
スとある街のとあるホテルの1室で椅子に縛られた偽造詐欺師のフィンチ(クリスチャン・スレーター)。彼に銃を向けるのは、通称“毒舌ジム”(ティム・アレン)。ギャングから遣われた“映画好きの殺し屋”だ。「かつての映画にはストーリーがあった」と古きよき映画を熱く語る毒舌ジムに、「ストーリーならおれにだってあるさ」と語り始めたフィンチ。刑務所で知り合った奇術師でダイヤ泥棒のマイコー(リチャード・ドレイファス)とともに脱獄する第一幕、“クレティス・タウト”に成りすました為にギャングに命を狙われる第2幕、娘のテス(ポーシャデロッシ)とともにダイヤモンドを取り戻す第3幕……。それは、昔の映画のように展開する。そして、映画のような結末をその目で確かめた毒舌ジムは……。

脚本・監督は、これが実質のデビュー作となるクリス・バー・ヴェル。
原題は「WHO IS CLETIS TOUT ?」
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-25 00:10 | カ行  

コールド・マウンテン ★★

主人公エイダ(ニコール・キッドマン)とインマン(ジュード・ロウ)が美男美女で思わず釘付けになるけれど、途中から出てくるベル(レニー・ゼルウィガー)や山の未亡人(ナタリーポートマン)の方が演技が光っていて、存在感が大きかったねー。2時間半もの長作で、アメリカ南北戦争を題材にした戦争もの(しかも時代劇)ですが、レニー・ゼルウィガーをはじめとした脇役陣の演技が素晴らしく、最後まで退屈せずに観れました。でもインマンとの再会のシーンと、インマンの死ぬシーンは、もう少し作品としての意味が象徴されるようなシーン(アイディア)にして欲しかったなあと。すごい苦難を乗り越えて出会った割にはちょっとあっさりしすぎ。一夜の契りで子供ができてたってオチは「ターミネーター」かよ(笑)。

ストーリー:
南北戦争末期、南軍兵士として戦場に送られたインマン。重傷を負って病院に収容された彼の脳裏に浮かぶのは恋人エイダの面影だった。彼は死罪を覚悟で脱走兵となり、故郷コールドマウンテンを目指す。道中、戦争の愚かさや恐ろしさを目の当たりにするインマン。エイダと共有した時間や会話はわずかなものだったが、傷ついたインマンにとって、彼女との再会こそが残された唯一の希望だった。一方、戦争の混乱で、秩序も農場もめちゃくちゃになったコールドマウンテンでは、生来お嬢様のエイダが、神父であった父を亡くし途方に暮れていた。そこに現れたのはルビーという女。エイダに農業と逞しく生きる術を教えてくれる。戦牧場の再建に尽力しながら友情を育む二人。ルビーは父との確執を乗り越え 、エイダはついにインマンとの再会を果たす。
戦争と男、農業と女、人を殺す男と、子供を守り育てる母親たる女……、チャールズ・フレイジャーの小説を、壮大なイメージで映像化。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-24 01:24 | カ行  

喜びも悲しみも幾年月 ★★


私の父や母が産まれる数年前(戦前)からはじまり、戦後までの数十年間が描かれているが、まるで日本の夫婦のルーツをみたような気がした。この映画をみて、「灯台守の唄」の意味がはじめてわかった。見合いで結婚した男女が、転勤や戦争といった様々な環境の変化に向き合いながら、夫婦として愛を育み、父母として子を思い、家族として絆を固くしていくその姿には、胸を打たれる部分が少なくなかった。

解説:
公開当時一世を風靡した長編大河ドラマ。実在の灯台守の妻・田中キヨの手記に基づいて、灯台守の夫婦の半生を描いた作品。監督は木下恵介氏。灯台守の夫婦を演じるのは佐田啓二と高峰秀子。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-23 01:31 | マ・ヤ・ラ・ワ行  

みんな誰かの愛しい人 ★★☆

脚本がよく出来ている。「愛する人は違う誰かを愛して」とか、「みんな知らずに誰かを傷つけている」とか、「みんな誰かに誤解されている」とか、様々な人間関係の、微妙な心情がうまく描かれていて、最後まで楽しめた。だけどタイトルが「みんな誰かの愛しい人」っていうのはどうかな、甘すぎないかな。描かれているのは愛だけじゃない気がするから。この作品は、観る人によって、気に入ったり感情移入したりする人物が違うんじゃないかな。私は、作家兼編集者のお父さんの自分勝手なキャラクターがよかった。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-23 00:47 | マ・ヤ・ラ・ワ行  

アパートメント ★★

ビジネスで成功し、NYで知り合った美しい婚約者もいるマックスは、2年前に失恋した(はずの)恋人リザの声に後を追ってしまう・・・といった始まり方は「つかみはオッケー」とは言いがたく、続く回想シーンと現代のシーンとの連続は少々退屈。後半で真相がみえてくると「おっ」と思わせるところもあるのだけど、実は構成で複雑にみせているだけで、要約すると話は単純で、トレンディードラマのレベルだったりする。
それはさておき、ラストシーンはなかなか印象的。マックスに恋い焦がれていたはずのアリスが、スッと登場ゲートの向こうにいってしまったり、追いかけるマックスは婚約者とバッタリであってキスを交わしてしまったり。目が合う二人は共犯者のようでもあり、幼稚な高校生のようでもある。その気まぐれで自分勝手な感じは“恋ゆえのエゴ”であり、けして“愛”ではない。だから自己犠牲などといものはなくて当たり前。友情さえも踏みにじる。しかし、その“勝手さ”こそが“恋”らしさであり、それが最後まで貫かれているところがよかったかと。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-22 17:17 | ア行  

クライシス・オブ・アメリカ ☆

デンゼルワシントン演じる、湾岸戦争中に洗脳をうけた元上官のマルコ少佐が、アメリカ国家の裏に潜む巨大な陰謀に立ち向かう話・・・って、リアリティーもないし、細かいところがきちっとできてない典型的なSFサスペンスの駄作。そもそも体にチップを埋め込むシーンとかがマンガチックだし、そんな重要なチップが目に見えるようなところ(背中の皮膚の裏)に埋め込んであったり、しかもかじって取り出せるような代物だったりする。そうとう無理があるとおもうけど。メルリストリープ演じる女性代議士の演技はなかなかだったけど。最悪なのはDVDに収録されている監督と脚本家のコメント。名作をリメイクするにあたって工夫したところとかを話すんだけど、これが自画自賛の連発で。いってることは「はあ?」となることばかり。そのコメントをみなければ★くらいにしてあげたところだけど、あれを見たら誰だって減点したくなると思うよ。

出演:デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ
         (ゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞)
監督:ジョナサン・デミ監督(羊たちの沈黙)
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-22 16:51 | カ行  

卒業の朝 ★★★

歴史教師のハンダートは、最初の授業で「いかに権力を握ろうとも、社会に“貢献”していない人物は、歴史に名を刻めない。あわれな末路を辿るだろう」と生徒たちに諭す。
そう。ハンダートは、何十年間もの間、歴史に名を刻んだ人間たちを賞賛し尊敬し、彼らに多くを学ぶべきだと、教えを説いていたのだ。
ところが、自分の教えに背き、不正を繰り返し、コネや財力だけで大企業のトップに上り詰めたベルに呼び出され、再び裏切られる。ベルはこれからも、同じような生き方をし、やがては市議会議員となり、ともすると歴史に名を刻むかもしれない。よりによって、ハンダートはそのベルから、「自らこそが、ただの教師であり、歴史に名を刻むことなく老いていくしかない人間」であると気づかされるのだ。
教師と教え子、名もなき自分と名高いベル、歴史に埋もれた陰の偉人たちと歴史に名を残す偉人、この何十もの意味を持った二人の人間の対峙、それぞれの心に潜む感情の“なんともいえない複雑さ”が、この映画の最大の持ち味であり、最も深く感銘するところであった。

ストーリー:
1976年アメリカの名門校・聖ベネディクト学校で、古代ギリシャ・ローマ史を教えるハンダートの受け持つクラスに、ベルが転校してくる。上院議員である父親への反発から問題行動を繰り返すベルに、ハンダートは、学校の伝統行事である「ジュリアス・シーザー・コンテスト」という課題を与え、教師としてはあるまじき「ひいき」までして、ベルを導こうとする。が、その期待はあっさりと裏切られる。25年後、父親のコネで、アメリカ有数の大企業のトップとなったベルは、ハンダートとかつてのクラスメイトたちを招待し「ジュリアス・シーザー・コンテスト」を再現しようとするが、またしても不正を行うベルに、ハンダートは再び人生を諭しながらも、教師として自信を失いかけ、さらには校長という役職を剥奪され、処世術に長けたものが成り上がり権力を握る世界に失望するのだが、そんな世の中であっても、自らの教えにもとづき努力した人間たちが立派に成長し、幸せになっていることに気づいた半ダートは自信を取り戻し、教職に復帰する。そして、愚直な名もない英雄が、歴史にうもれているかもしれないことに、想いを巡らしながらも、再び歴史の教えを説き始めるのだった。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-22 14:33 | サ行  

フライト・オブ・フェニックス ★☆

予告編でたまたま観たときに期待した、おもしろくなりそうな要素がたくさんあるにもかかわらず、まったく描き方がなっていない。ダメ人間のあつまりであるはずの遭難者たちが、いかにサバイバルするか、それがテーマのはずなのに、自信家のパイロットが主人公である理由も最後までわからないし、模型飛行機の設計技師のキャラクターも、たんに不気味にしているだけで、結局「なーんだ」ってことになってしまったし、現地人に命を狙われる理由もいかにもアメリカ人が考えそうなところにとどまってしまっている。何より、サバイバルな危機感が全く伝わってこない。水や燃料の扱い方ひとつでそれへ執念とかが描けるはずなのに、道具にしても食料にしても描き方が雑すぎ。ダメ人間のあつまりであるはずの遭難者たちが、それぞれの特性を発揮し始めてうまくいくとか、調達の仕方を工夫して命がけで挑戦するとか、単純なアメリカン映画としたって、いろいろあるでしょーが。同じ設定で黒沢監督あたりが撮っていたら、名作になっていたかもしれないのになあ、と非常にもったいなく思った。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-22 13:51 | ハ行  

サイドウェイ ☆

日本もこの映画が公開されたころ、空前のワインブームで、ソムリエだの、ワイナリーをめぐる旅だのが取りだたされたけれど、ワインどころかお酒がまったく飲めず、“酔っぱらい”が大っ嫌いな私には、産地がどこで、いつ収穫されたブドウか、どんな料理に合うか、なんてことに、興味を持てるはずもなく、飲酒運転&脇見運転で始まる導入部分からして、かなり引いてしまった。それでも賞をとっている作品だといいところを探して最後まで観てみたが、別れた女に酔っぱらって電話をかけてみたり、結婚直前の男が旅先で女と寝まくったり、「ぐうたらな人間の勝手で最低な行為」が続くこの作品には、「ブリジットジョーンズの日記」を見たときにも感じた、イライラ感ばかりが募った。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-22 13:39 | サ行  

ファインディング・ニモ ★★☆

ちょっと期待しすぎたのかなあ。吹き替えで見たんだけど、ノリさんと室井滋さんの声が、知っている人の声だけに、なんだか感覚的に入ってこなかったといいうか。映画をつくるにあたり、制作に携わる人たち全員にダイビングの免許を取らせたというだけあって、海の中の映像はとっても素晴らしい。水や光、泡や流れなどのリアルさは圧巻。おそらく私たちの想像以上に苦労されたことと思う。歯科医の姪っ子のキャラクターなども実に面白く、水槽脱出のところにしても、ニモ側の展開は面白いのだけど、海を渡って息子を捜しにいくパパ側の展開がイマイチ。サメやカメのところなどは、少しアニメチックにしすぎだし、いっしょにお供をするナンヨウハギのキャラクターが少しウザいかなと。私はやっぱりモンスターズ・インクの方がいいかなあ。
[PR]

# by kanai_77 | 2006-01-22 05:00 | ハ行