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七人の侍 ★★★★★

この映画のすばらしさについては、私がいまさらいうまでもないだろう。
会社の宴会の席で、映画なんてみそうにない50代の上司に、「今まで見た映画で一番よかったのは何ですか?」と尋ねたとき、このタイトルが即座にかえってきた。当時私は、黒沢映画を1本も見ていなかったのだが、「そんなにおもしろいのか。なら一度みてみたいもんだなあ」と思った記憶がある。そのすぐあと、ちょうど機会があって、池袋の文芸座で観ることになったのだが、途中で休憩が挟まる長い映画というのも本作品がはじめてだったが、あの文芸座の椅子であってもお尻の痛さなど忘れて最後まで見入ったことを覚えている。それまで、黒沢作品というのは、コアな映画ファンのものだと勘違いしていた私は、目を見張アクションも見事なエンターテイメントでありながら、人間の悲しさやずるさを描き出し、映画としての美しさ、世界観を持つこの作品を、今まで観なかったことを後悔した。その後の私の映画観を、根本から変えた作品といっていい。たくさんの黒沢作品を観た今も、本作品は私にとって「天国と地獄」と並ぶNO.1映画である。
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by kanai_77 | 2006-01-29 19:21 | サ行  

酔いどれ天使 ★★★★☆

三船敏郎の若い頃の荒削りな魅力とエネルギーに満ちあふれた作品。白いスーツに身を包んだ若いヤクザ松永(三船)は、ヤクザ同士の抗争で、手の平にナイフがつきささろうが“へ”とも思わない。しかし肺病を患うそのからだの変化に、死への恐怖を感じている。その矛盾こそが母性本能をくすぐる。白いスーツを真っ赤な血で染め、壮絶な死を遂げるその死に様は、後の菊千代に勝るとも劣らない。黒澤監督はやくざの幹部役だった三船の野獣のようなエネルギー溢れる演技に魅了され、構想を変更したという。その結果、正しい道を示す医師・真田(志村喬)ととの真剣勝負の対峙が映画の見所となった訳だが、やり場のない怒りにありあまるエネルギーをぶちまける若いヤクザというキャラクターは、当時の三船そのものだったのかもしれない。
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by kanai_77 | 2006-01-29 19:04 | マ・ヤ・ラ・ワ行  

用心棒 ★★★★★

すばらしい。まず映像が素晴らしい。モノクロならではの美しさに感動した。三十郎が身を潜める居酒屋は、外から差し込む光が人物を黒く浮き立たせ、影絵のような感じなのだが、その美しさには思わず息をのんだ。対立する二組をまずは戦わせて自分は火の見やぐらで高みの見物。このアイディアはアメフトの試合を見て発想したと言うが。棺桶屋と居酒屋の主人くらいしか駒がない、たった一人のヒーロー三十郎が、様々な知恵を駆使してたくさんの敵を倒していく様はまさに痛快だ。一度はこてんぱんにやっつけられた三十郎が、祠で体の回復をまちながら、刀を投げる特訓をするシーン。木の葉をグサリとつきさしたそのとき、クライマックスへの期待がぐんぐんと高まっていく……。ダイハードをはじめ、昨今のアクション系エンターテイメントのお手本とも言うべき作品。
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by kanai_77 | 2006-01-29 18:47 | マ・ヤ・ラ・ワ行  

椿三十郎 ★★★★★

用心棒の続編、で前作に比べ、コメディー色が濃い。加山雄三を中心とした若い武士たちの密談を聞いてしまった三十郎が、大目付による藩乗っ取りの悪事をあばき、正義の味方として一役かうというお話だが、脚本がすばらしく、非常に楽しめる作品となっている。ご婦人方の知恵に耳を貸し、つばきの花を川に流して合図を送るところなどは、心憎い演出。そして見所は、ラストの決闘シーンだ。仲代達矢演じる室戸半兵衛を相手に、右手で抜いたのでは間に合わないと、左手で刀を抜きながら相手を斬るというやり方は、三船本人が現場で考案したものだという。しかし、その三船の刀さばきは、鮮やかすぎて(速すぎて)、フィルムのコマには写っていないという。三船ファンなら見逃せない一本。というより、見た人はみな三船のファンになるだろう。
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by kanai_77 | 2006-01-29 18:35 | タ・ナ行  

十二人の怒れる男 ★★★★★

17歳の少年が父親の殺人容疑で起訴され、そこに集まった12名の陪審員たちがその事件の評決を巡って議論を交わす。密室で展開する12人の男たちの心理描写がすばらしく、それぞれのキャラクターが絶妙に描き分けられている。陪審員室の部屋の暑さというか湿度と言うか、その息苦しい雰囲気が直に伝わってくるようだった。

いうまでもなく、三谷幸喜氏の「十二人の優しい日本人」は、この映画のパロディーであるが、パロディーの域を超え、とても楽しめる作品となっている。どちらかを見たら、もう一方も見ることをオススメする。
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by kanai_77 | 2006-01-29 18:24 | サ行  

初恋のきた道 ★☆

美少女時代のチャン・ツィイーの初々しい美しさと、中国の雄大な自然の風景の映像美が最大の見どころ。春夏秋冬、長い期間にわたってロケをして撮ったんだろうなと思うが、その映像は本当に素晴らしかった。中国にはこんなに素晴らしい景色の自然があるのかと改めて驚かされた。初々しい初恋物語は、誰もが少女時代に一度は経験したことのある恋の切なさや、少女の健気さとずる賢さを思い出させてくれるが、それ以上でもそれ以下でもなく、まるでチャン・ツィイーのプロモーションビデオかと思うほど、ストーリー自体は悪く言えば単純(よくえば清楚)だ。身分の違う男女の恋といえばロミオとジュリエットが代表的だが、このヒロインには大した葛藤もなければ覚悟もない。ただただ一途なだけなのだ。葬儀に人手がいるなら「教え子を呼べばいいのに」って、最初に思ってしまった私にとっては、ラストも予定調和だった。生徒にも息子にも町長にも少女にも葛藤なんてものはどこにもない。だから映画としての深みがない。

ストーリー
中国映画界の巨匠チャン・イーモウ監督が、素朴な感動のテイストをもって描いたラブ・ストーリー。父の死で帰省した青年が、母と父のなれそめを追想していく。若き日の母=18歳の少女デイ(チャン・ツィイー)は、村にやってきた小学校教師チャンユーに一目ぼれ。せっせと彼のために弁当を作り、偶然を装って待ち伏せる。
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by kanai_77 | 2006-01-29 01:08 | ハ行  

ノーバディーズ・フール ★★

「俺は、人(父)に愛されなかった、だから人(息子)に愛を与えることなんてできない人間だ」といいつつも息子や孫に気を配り、「俺は君(ミス・ベリル)の老後の面倒なんて看れない、俺なんかを頼りにしないでくれ」といいながらも、病院に付き添い、「最低なカールなんかよりも、俺の君(トビー)を幸せにできる」といいながらも、ハワイ行きを断るサリー。そんなサリーを演じるのは名優ポールニューマン。「男の中の男」はいくつになってもセクシーでいい男なのだ。60歳になっても粋な台詞が似合う男。メラニー・グリフィス演じるトビーとの絡みでは、口説くふりをして慰めているのか、慰める振りをして口説いているのか、微妙な駆け引きは、まさに恋愛映画だ。彼じゃなかったら、たんに冴えない男の冴えない話になってしまっただろう。
「ノーバディーズ・フール」は直訳すると、「愚かな人なんていない」?じゃあここでいう「バカ」っていうのはどういう意味なのか?町一の美しい妻がいながらも浮気を繰り返すカール、惚けて町を徘徊する老婆、ピートに焼きもちをやく相棒のロブ、テーマパーク建設に踊らされたミス・ベリルの息子、役に立たない弁護士、くたびれた作業着姿のサリー(ポールニューマン)の周りには、ある意味「愚か」で「世話の焼ける」人間たちが、さえない愛すべき魅力ある人々として描かれている。
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by kanai_77 | 2006-01-29 00:20 | タ・ナ行  

クライム・アンド・ダイヤモンド ★★★

いろいろな映画の要素がちりばめられ、古き良き時代の名画をたくさんみている映画ファンには非常に楽しめる秀作だ。脚本がよくできている。カット割りやワイヤーアクション、CGや特撮といった、現代映画の要素は一切排除され、代わりにあるのは、古き良き時代の名画のような演出……W・ワイラー調のさわやかなロマンス、A・ヒッチコックの小粋なサスペンス、B・ワイルダーのコミカルなギャングたち。あまり話題にならなかったのは、宣伝と予告編がダメダメだった(DVDに入っている予告編は、オリジナル版、日本公開版、ビデオ版とそれぞれ違うが、オリジナル版がいちばんまとも。他の2つは???って感じです)からじゃないかと。

そういうわけで、まさにイガオモ映画。隠れたオススメ作です。

ストーリー:
スとある街のとあるホテルの1室で椅子に縛られた偽造詐欺師のフィンチ(クリスチャン・スレーター)。彼に銃を向けるのは、通称“毒舌ジム”(ティム・アレン)。ギャングから遣われた“映画好きの殺し屋”だ。「かつての映画にはストーリーがあった」と古きよき映画を熱く語る毒舌ジムに、「ストーリーならおれにだってあるさ」と語り始めたフィンチ。刑務所で知り合った奇術師でダイヤ泥棒のマイコー(リチャード・ドレイファス)とともに脱獄する第一幕、“クレティス・タウト”に成りすました為にギャングに命を狙われる第2幕、娘のテス(ポーシャデロッシ)とともにダイヤモンドを取り戻す第3幕……。それは、昔の映画のように展開する。そして、映画のような結末をその目で確かめた毒舌ジムは……。

脚本・監督は、これが実質のデビュー作となるクリス・バー・ヴェル。
原題は「WHO IS CLETIS TOUT ?」
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by kanai_77 | 2006-01-25 00:10 | カ行  

コールド・マウンテン ★★

主人公エイダ(ニコール・キッドマン)とインマン(ジュード・ロウ)が美男美女で思わず釘付けになるけれど、途中から出てくるベル(レニー・ゼルウィガー)や山の未亡人(ナタリーポートマン)の方が演技が光っていて、存在感が大きかったねー。2時間半もの長作で、アメリカ南北戦争を題材にした戦争もの(しかも時代劇)ですが、レニー・ゼルウィガーをはじめとした脇役陣の演技が素晴らしく、最後まで退屈せずに観れました。でもインマンとの再会のシーンと、インマンの死ぬシーンは、もう少し作品としての意味が象徴されるようなシーン(アイディア)にして欲しかったなあと。すごい苦難を乗り越えて出会った割にはちょっとあっさりしすぎ。一夜の契りで子供ができてたってオチは「ターミネーター」かよ(笑)。

ストーリー:
南北戦争末期、南軍兵士として戦場に送られたインマン。重傷を負って病院に収容された彼の脳裏に浮かぶのは恋人エイダの面影だった。彼は死罪を覚悟で脱走兵となり、故郷コールドマウンテンを目指す。道中、戦争の愚かさや恐ろしさを目の当たりにするインマン。エイダと共有した時間や会話はわずかなものだったが、傷ついたインマンにとって、彼女との再会こそが残された唯一の希望だった。一方、戦争の混乱で、秩序も農場もめちゃくちゃになったコールドマウンテンでは、生来お嬢様のエイダが、神父であった父を亡くし途方に暮れていた。そこに現れたのはルビーという女。エイダに農業と逞しく生きる術を教えてくれる。戦牧場の再建に尽力しながら友情を育む二人。ルビーは父との確執を乗り越え 、エイダはついにインマンとの再会を果たす。
戦争と男、農業と女、人を殺す男と、子供を守り育てる母親たる女……、チャールズ・フレイジャーの小説を、壮大なイメージで映像化。
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by kanai_77 | 2006-01-24 01:24 | カ行  

喜びも悲しみも幾年月 ★★


私の父や母が産まれる数年前(戦前)からはじまり、戦後までの数十年間が描かれているが、まるで日本の夫婦のルーツをみたような気がした。この映画をみて、「灯台守の唄」の意味がはじめてわかった。見合いで結婚した男女が、転勤や戦争といった様々な環境の変化に向き合いながら、夫婦として愛を育み、父母として子を思い、家族として絆を固くしていくその姿には、胸を打たれる部分が少なくなかった。

解説:
公開当時一世を風靡した長編大河ドラマ。実在の灯台守の妻・田中キヨの手記に基づいて、灯台守の夫婦の半生を描いた作品。監督は木下恵介氏。灯台守の夫婦を演じるのは佐田啓二と高峰秀子。
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by kanai_77 | 2006-01-23 01:31 | マ・ヤ・ラ・ワ行